新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

幻影と共に、過去が掘り起こされる

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「ジェラルドのゲーム」(原題 GERALD'S GAME) 主演 カーラ・グギーノ

 

  倦怠期の夫婦、夫ジェラルドと妻のジェシー。2人は性生活に刺激を与えるため、手錠を手に人里離れた湖畔の別荘に訪れる。ジェシーの両の腕を手錠で固定し、行為に及ぶ。リアリティを求め、手錠は本物だ。しかしいざ行為に及ぼうとしたその時ジェラルドの身体がぐらりと揺れ、倒れた。倒れたジェラルドの後頭部からは血が流れ、ジェシーは1人、取り残された。腕を拘束されたまま…

   やがて日が暮れはじめると野犬が部屋に入ってきた。ジェシーが餌付けをしたその野犬はジェラルドの腕の肉を喰いちぎった。その瞬間ジェラルドは起き上がった。しかしジェラルドの遺体は確かにそこにある。ジェシーは正気を失い、ジェラルドの幻覚を見始めたのだ。さらにジェシーの元には自身の幻覚すらも見え始める。そして、絶望的な状況の中で明かされるジェシーの過去とは…

 

 

  Netflixオリジナルホラームービーです。原作はあのスティーブン・キングの同タイトルの作品です。1992年の本。

  今作は海外ホラーでありながら、ありがちなホラーとは一線を画した作品となっております。というのも、海外ホラーの大定番である"命の危機"や"人外や殺人鬼のもたらす恐怖"というものがメインに据えられていないのです。一応、ジェラルドの肉を喰い、ジェシーすらも虎視眈々と狙い続ける野犬や、夜ジェシーが眠っている間に訪れていたと思われる謎の存在(最後に正体が明かされる)もおりますが、それはあくまでジェシーの焦燥感や恐怖を煽る存在として登場しており、今作のメインはジェシーの過去との対峙にあります。

  ジェシーの目の前に現れるジェシー本人とジェラルドの幻影は、ジェシーの内側から出てきた存在であるためジェシーの過去を知っています(幻影ジェラルドはジェラルドが知らなかった事を知らないような描写もありますが)。それはつまりジェシーが封印し続けていた過去を知っているという事。心の奥底に埋め、目をそらし続けてきたトラウマを無理やり掘り起こされるのです。この過去っていうのが中々に曲者。いや、確かにこれはキツイですよ。なんとも言えない気分の悪さが見事に描かれています。

  

  そして今作のもう1つの魅力。それは"リアリティすぎる痛々しさ"。個人的見ていて痛かった映画No.1は「127時間」なのですが、今作もそれに匹敵する痛々しさがあります。もうね、目を逸らしたくなるほど"痛そう"なんですよ。シチュエーションは非現実的なのに痛みは現実的。だからこそ物語にぐいぐい引き込まれるのです。

  また、後日談が長いのも今作の特徴。後日談というと登場人物がどうなったかをあっさり紹介して終わりって感じがしますが、今作の場合はかなり丁寧に紹介されています。まぁ、本編で夜やってくる謎の存在についてほとんど言及されていないですからね。仕方がないっちゃあ仕方がない。そして最後にジェシーが謎の存在に、ジェラルドに、若き父に放ったある1つの言葉、この言葉選びも上手く、過去との決別が一瞬でわかる表現になっています。上手い。

 

 

ジェラルドのゲーム (文春文庫)

ジェラルドのゲーム (文春文庫)