新米の一歩目

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欲しいのは絵ではなく過去なのだ

黄金のアデーレ 名画の帰還(字幕版)

「黄金のアデーレ 名画の帰還」(原題 Woman in Gold) 主演 ヘレン・ミレン

 

  ルイーゼは名一杯、一生懸命に自身の人生を生きぬき、安らかに他界した。彼女は妹のマリアに遺書を残した。遺書に書かれたメッセージを見たマリアは友人の息子で弁護士のランディにある相談をすることになる。

  ランディがマリアから受けた相談はある美術品をオーストリアから取り返したいというものだった。その美術品とはかのグスタフ・クリムトが描いた「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」(黄金のアデーレ)という作品で、ナチスドイツに取り上げられた後、オーストリアの美術館に保管されている絵画である。そして、そこに描かれていた女性アデーレはマリアとルイーゼの叔母にあたる存在だった。

 しかし「黄金のアデーレ」を取り戻すという願望はひどく険しい道のりだった。というのも、「黄金のアデーレ」はオーストリア国民にとっては至宝の作品、モナリザ並に手放したくない一品だったのだ。オーストリア政府は、美術館返還を謳っていながらも、効力のないハズのアデーレの遺言を盾に「黄金のアデーレ」の返還を拒否する。それにより、事態は裁判にまでもつれ込んでゆく…

 

  史実に基づく作品「黄金のアデーレ 名画の帰還」過去ナチスによって迫害され、不当な扱いを受け、人間性を奪われた一族が最後の1人を取り戻すまでの物語です。ちなみに、最後の1人であるアデーレもまた、絵になってまでも不当な扱いを受けており、英題の"Woman in gold"というのは、アデーレとユダヤ人との繋がりを隠すために過去つけられていた絵画のタイトルだそうです。

 オーストリアの至宝と呼ばれた作品「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」

 

 黄金に輝く美しいその姿はまさに至宝とも言える存在、お金ではないものの、作中では約1億ドルの価値がつけられていました。そしてこれを描いたのがグスタフ・クリムトという作者です。

 

  「ミケランジェロ・プロジェクト」という残念邦題の良作映画があり(原題はモニュメント・マン)そこでも描かれているのですが、ナチスドイツは戦時中、数多くの芸術品、美術品を人々から略奪してきました。今作で奪われた「黄金のアデーレ」もナチスドイツにより略奪、やがてナチスに迎合したオーストリアの美術館に展示されるようになりました。実は、アデーレは(世界がこんなことになる前に)自身の死後、美術品をオーストリアの美術館に寄贈することを依頼しておりました。そのため、マリアの主張は通らないかに思われましたが、実は所有権などの関係で正しい持ち主がマリアだと判明します。しかしそこからオーストリアはあらゆる方法を使って作品を手放すまいとするのです。

 

  今作で描かれるのは熱い思いたち…特に、ランディの熱い思いが描かれます。始め、ランディはお金のために仕事を受けました。だって1億ドルの価値のある絵ですからね。しかしランディもまた、オーストリアにルーツを持つ人間、彼はオーストリアの1回目の訪問をきっかけにこの事件に並々ならぬ想いを抱きます。それは仕事を辞め、借金をする程の物でした。ランディの中のきっかけはやはりホロコーストの記念碑なのでしょう。自らのルーツであることも理由でしょうが、やはり慰霊碑や記念碑といったものは心にくるものがあります。僕は沖縄のものしか見たことはありませんが、ホロコーストを含め、人種に関わらず人類が知らなくてはならない、忘れてはならないことなのでしょう。

 

 

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