新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

"声"は無くとも、"愛"はある

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「MUTE/ミュート」(原題 MUTE) 主演 アレクサンダー・スカルスガルド

 

  レオ少年は間違いなく望まれて生まれてきた子どもだったのだろう。しかし、愛されていたかに関わらず、信条が障害を生み出すこともある。レオが幼い頃、湖で溺れたことがあった。なんとか助け出されたが、体組織が破壊されていた。手術をすれば良かったのだが、アーミッシュだったレオの母親は、人間の手で人体に手を加えること…つまり手術を断った。結果、レオは言葉を失った。

  30年後、ベルリン。まさに近未来を表したかのようなこの世界でレオは健康に過ごしていた。言葉を話すことがないから満足しているかどうかは分からないが、愛しい彼女と平凡な日常を過ごしていた。

  しかしある日を境に彼女のナディーラが姿を消してしまう。愛し合っていたはずなのに…こうして、無口の男は愛する彼女を探すため、危険な道に足を踏み入れることになる…

 

  Netflixオリジナル映画「ミュート」です。近未来のベルリンを舞台にしたサスペンス映画となっています。

   なんともブレードなランナー感のある世界を舞台に繰り広げられる今作。主人公のレオの家庭がアーミッシュだったから未来のハイテクアイテムを上手く使えないという設定によって、捜査は古風になってます。電話番号をキッカケに探したり、メモ用紙に残ったペンの筆圧からメモの内容を割り出したりですね。下手に未来アイテムを使われるより分かりやすいですし、アーミッシュの設定が活かされていますね。巧いね。ちなみにアーミッシュってのは電車や車すら使わない生活をしているコミュニティの人たちの事です。

 

  今作はレオとカクタスという男の視点を交互に描いて成り立っています。カクタスというのは、アメリカに帰るために偽IDが完成するのを待っている娘連れの粗暴な男です。ちなみにポール・ラッド。カクタスのシーンも非常に多く、主人公格の活躍を見せてくるのですが、"何故"カクタスがここまでフィーチャーされるのかはかなり終盤まで一切明かされません。あ、分からなくても普通に面白いのでそこはご安心ください。物語終盤になってやっとカクタスの重要性が明かされる訳ですが、ここも中々に上手く、"なるほど"と唸る出来栄えです。ちなみに、カクタスは粗暴かつ口やかましいため、レオの無言との対比も上手く、レオが喋れないからといって静かな作品にはなっていません。それも巧いね。

 

  また、今作は"ナディーラの失踪の原因になった人物"と"最後に総取りをかましてきた人物"とで犯人が分かれています。総取りをする人物は意外でありながらもそれまでの描写によって納得できる人物となっております。レオはそのどちらとも対峙するのですが、ナディーラの失踪の原因となった人物は目的がはっきりしているのに対し、総取りの人物は目的不明(ある意味はっきりしているのですが、レオをどうするつもりかがあやふや)かつレオが絶望的な状態での対峙なので、先の読めないストーリー性もかなりの見ものとなっています。

 

  王道的でありながら巧い描写に驚かされる本格SFサスペンス映画です!